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2008.03.27
北村薫 ターン

北村薫 ターン ★★☆☆☆
「新潮文庫の100冊」を眺めていたとき、背表紙の青がキレイだったので手に取ってみた。北村薫は名前を聞いたことがあったが、読むのはこの本が初めて。大筋は悪くないが、細かいところが気になる作品だった。
まず二人称で話が進んで行くのに驚かされる。二人称の小説は初めてというか免疫がないので、どう読み進めていけばいいものか戸惑った。それでも文体は読みにくいものでないので話を進めていくが……なんだかなぁ、現実味が薄いんだよなぁ。
この現実味の薄さの原因は主に主人公、真希の性格設定。良く言えば哲学的、悪く言えば何かと引っかかる物の考え方というか、鼻につくたとえ方をするのだ。真希の職業が芸術家ということで、「芸術家らしい物の捉え方だ」となればいいのだが、ワタシに芸術的センスが足りないのか、そこに親近感は得られなかった。一般人から見れば真希はかなり痛い人だと思う。こうなると二人称形式の話の進み方も、まるで妖精さんがしゃべっている風で主人公の痛さに拍車をかける。あながち間違ってはいなかったが。
さらにこの声の正体が明かされていく過程は完全にメルヘンの世界。たまたま曲がり角でぶつかった人は前世からの運命の人だったの的展開に、正直ちょっとついていけない。物語後半で登場する柿崎は、また極端な性格の持ち主で、悪い意味で個性的。少なくとも読者が肩入れできるような人物ではない。ちなみにこの柿崎、真希に時間の意義を悟らせるためだけのかませ犬な扱いなので、少々いたたまれなくなる。
散々悪い点を挙げたものの、よい点もある。真希の性格も細かいところは鼻につくものの、基本的な部分は常識人で、行動も筋が通っていて共感もできる。物語の主旨がわかりやすいのもいい。非現実な世界観にあって、はっきりした主旨の部分は少々浮いた感じもするのだが、個人的にはそれまでのスローテンポから変わって、ラストに向かって突き進むスピード感として感じることができたのでアリだ。
小説、しかもミステリ系なんてそもそも非現実な話だし、この物語に限れば現実にはあり得ない現象、世界での話なので、作品全体にどうしても非日常な空気が漂ってしまう。しかしその非現実な現象が、あたかも実際に自分の身に降りかかったかの如く感じる作品の方が個人的には好きだ。作品の非日常感に輪をかける主人公の哲学的思考回路は、より非日常感を演出するための作者の意図なのかもしれない。そうだとすればまさに作者の思う壺だ。
世間的な評価は高いので、非現実感と哲学的な雰囲気を味わいたい人におすすめする。
2008.03.26
東野圭吾 白夜行

東野圭吾 白夜行 ★★★★★
幻想的な黄色の表紙に惹かれて手にとってみれば、文庫本なのに1000円、約850ページという分厚さにそのまま無言で元の場所に戻す……といったことが往々にして起こっていそうな東野圭吾の代表作品。しかしそのハードルを乗り越え実際に読み始めてみると、これが実に素晴らしい作品となっている。
内容は悲劇というか、かなり救われない話なのだが、主人公である亮司と雪穂の間にある絆は間違いなく美しい。主に70年代〜80年代という舞台設定もあいまって、退廃的な美しさが作品全体から漂っている。
さらにこの作品の特徴とも言える描き方が、主人公2人の視点では一切語られないということ。それによって解釈が自由になり、読者による感じ方に幅が出る。先に触れた亮司と雪穂の間にある絆に関しても「本当に2人の間に愛はあったのか?」といった意見もある。人気作家の人気作品だけに議論も白熱したようだ。
それでも個人的には亮司は雪穂を間違いなく「命を賭して」愛したと思うし、雪穂も亮司を心の拠り所にしていたと思う。物語後半、雪穂のセリフには普通に感動した。このセリフは物語のキモとも言えるセリフだし、「白夜行」というタイトルの由来とも言えるセリフなのでここには書かないが。気になる人は文庫本826ページだ。それにしても「白夜行」というタイトルは主人公2人の人生を完璧に言い表し、さらに作品全体の美しさを凝集した、まさに神がかったタイトルだ。日本語って素晴らしい。
ちなみにこの作品、2006年にテレビドラマ化されている。山田孝之と綾瀬はるかが主人公2人を好演した。亮司と雪穂の幼少時代を演じた泉澤祐希、福田麻由子もよかった。武田鉄矢はかなり微妙だったが。主人公を差し置いて前に出て来すぎだ、この人。ただし、特に雪穂に言えることだが、幼少時代のエピソードは映像にすると残酷さがより強調されるので、無理な人は無理だろう。
さらにこのドラマの主題歌は柴咲コウの「影」なのだが、この主題歌がまた白夜行の世界にバッチリはまる良作。「君が幸せ掴むように 偽日になり祈ろう」という歌詞を聴いたときは、思わず視界が滲んだ。原作を読んで気に入った人は聴いてみてほしい。
とにかくこの作品は名作といえるだろう。今まで読んだ小説の中から3作選べと言われれば間違いなくこの作品の名前は挙げる。暗い雰囲気が大丈夫な人はぜひ一度読んでみることをおすすめする。
2008.03.24
はじめに
自分のスタンスというかそんなもの。
・レビューではなくて、あくまで感想。
自分がより深くその作品を楽しみたいがために書いているだけなので、
他の人がこの文を見て、どう思ってもワタシの知るところではない。
参考にしていただけるだけなら大歓迎。
・目安として6段階評価をつける。それぞれの基準はだいたい以下の通り。
★★★★★:個人的傑作。いろんな人に知ってほしい。
★★★★☆:かなり好き。好みの合う人におすすめ。
★★★☆☆:悪くない。良い所>悪い所。
★★☆☆☆:悪くない。良い所<悪い所。
★☆☆☆☆:だめ。でも光るものはある気がする。
☆☆☆☆☆:個人的に合わない。生理的に無理。
・小説中心。
ホラー、SF、ミステリが好み。ライトノベル、ガチガチの恋愛ものは苦手。
・ケータイ小説否定派。
小説と銘打ち、またそれで食べている以上、ある程度のクォリティは求める。
素人目に見てさえあまりにもな文章は内容以前に却下。
・レビューではなくて、あくまで感想。
自分がより深くその作品を楽しみたいがために書いているだけなので、
他の人がこの文を見て、どう思ってもワタシの知るところではない。
参考にしていただけるだけなら大歓迎。
・目安として6段階評価をつける。それぞれの基準はだいたい以下の通り。
★★★★★:個人的傑作。いろんな人に知ってほしい。
★★★★☆:かなり好き。好みの合う人におすすめ。
★★★☆☆:悪くない。良い所>悪い所。
★★☆☆☆:悪くない。良い所<悪い所。
★☆☆☆☆:だめ。でも光るものはある気がする。
☆☆☆☆☆:個人的に合わない。生理的に無理。
・小説中心。
ホラー、SF、ミステリが好み。ライトノベル、ガチガチの恋愛ものは苦手。
・ケータイ小説否定派。
小説と銘打ち、またそれで食べている以上、ある程度のクォリティは求める。
素人目に見てさえあまりにもな文章は内容以前に却下。
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